6月末のコーディネート。
藍色の単衣の夏紬に、白い紗献上(ポリ)。
水色の帯上げに、同系色のレースの帯締め。
今年の6月は比較的涼しかったので、着物も楽勝でした。
でも、7月からは未体験ゾーン。
いつも盛夏は浴衣しか着ていなかったのですが、今年は夏着物に挑戦するつもり。
去年や一昨年は猛暑だったけど、今年はどうなんだ?
とりあえず、チャレンジしてみます♪
To see a world in a grain of sand, and a heaven in a wild flower.... by William Blake
2012年6月30日土曜日
2012年6月18日月曜日
安東次男との出会い
梅雨の晴れ間の日曜日、世田谷にある2つの美術館に行ってきた。
最高気温が30度近くになるという予報だったので、しじら織りの着物。
地味めな着物なので、帯は、叔母からいただいたビビットなオレンジの麻の帯。
帯あげと帯締めも完全に夏仕様!
下着はもちろん、筒袖の肌襦袢に半襟をつけただけだから、とっても涼しい(*^-^)b
午前中は、静嘉堂文庫美術館の『東洋絵画の精華・後期』の(至高の中国絵画コレクション)展へ。
宋・元時代から清朝までの中国絵画の名品(国宝や重文)などが勢ぞろいしていて、とても見ごたえがあった。
国宝の《風雨山水図》(伝 馬遠)の、風雨にたなびく樹木の表現は長谷川等伯に、雨に打たれながら足早に過ぎていく人の姿は、歌川広重に影響を与えているように思う。
奇想派と呼ばれる王建章の《川至日升図》や張瑞図の《秋景山水図》(いずれも重文)の、デフォルメされた岩山や樹木の表現、不気味に歪んだ岩山の輪郭などは、曾我蕭白のインスピレーションの源となったことだろう。
実際に若冲は、張思恭の作とされる《文殊・普賢菩薩像》を、「巧妙無比」であると称え、この画を参照しながら《釈迦三尊像》を描いたとされている。
静嘉堂文庫のいいところは、日曜日にもかかわらずそれほど来館者がいないので、これだけの名品をほとんど「かぶりつき」で、じっくりと鑑賞できることだ。
(美術鑑賞は、こうありたいものである。)
それに、受付では8ページにも及ぶ詳細なリーフレットが無償で配布されるのも嬉しい。
主な作品の写真も掲載されているので、後で思い出すのに役に立つ。
午後からは、静嘉堂文庫の近くにある世田谷美術館へ。
世田谷美術館は砧公園のなかにあるので、緑豊かで閑静な美術館だ。
企画展では銅版画家の《駒井哲郎》展が開催されていた。
入口付近に駒井哲郎の写真が展示されていて、鼻筋の通った痩身の美男子だった。
(「イケメン」というよりも、「美男子」という言葉がぴったり。)
駒井哲郎の作風は、その時々で大きく変化する。
ジョアン・ミロ風の太い墨線で描いたような作品が登場するかと思えば、パウル・クレーのような可愛いくて繊細な作品もあり、ルドンを彷彿させるモノクロの少し不気味な作品もある。
特に印象に残ったのは、詩人の安東次男とコラボレートした詩画集『からんどりえ』と『人それを呼んで反歌という』の作品群だ。
安東次男という詩人の存在をこのとき初めて知ったのだが、その詩がとてもカッコイイ!
たとえば;
霙(みぞれ)
地上に届くまえに
予感の折返点があって
そこから
腐爛した死んだ時間たちが
はじまる
風がそこに甘皮を張ると
太陽はこの擬卵を温める
空の中へ逃げてゆく水と
その水から
零れ落ちる魚たち
はぼくの神経痛だ
通行止めの柵を破った
魚たちは
収拾のつかない白骨となって
世界に散らばる
そのときひとは
漁
泊
滑
泪にちかい字を無数に思い出すが
けっして泪にはならない
この安東の詩に合わせて、駒井は骨ばった細長い魚の版画を描いている。
東洋絵画、駒井哲郎の版画、安東次男の詩。
素晴らしい出会いのあった日曜日に乾杯!
地味めな着物なので、帯は、叔母からいただいたビビットなオレンジの麻の帯。
帯あげと帯締めも完全に夏仕様!
下着はもちろん、筒袖の肌襦袢に半襟をつけただけだから、とっても涼しい(*^-^)b
宋・元時代から清朝までの中国絵画の名品(国宝や重文)などが勢ぞろいしていて、とても見ごたえがあった。
奇想派と呼ばれる王建章の《川至日升図》や張瑞図の《秋景山水図》(いずれも重文)の、デフォルメされた岩山や樹木の表現、不気味に歪んだ岩山の輪郭などは、曾我蕭白のインスピレーションの源となったことだろう。
実際に若冲は、張思恭の作とされる《文殊・普賢菩薩像》を、「巧妙無比」であると称え、この画を参照しながら《釈迦三尊像》を描いたとされている。
静嘉堂文庫のいいところは、日曜日にもかかわらずそれほど来館者がいないので、これだけの名品をほとんど「かぶりつき」で、じっくりと鑑賞できることだ。
(美術鑑賞は、こうありたいものである。)
それに、受付では8ページにも及ぶ詳細なリーフレットが無償で配布されるのも嬉しい。
主な作品の写真も掲載されているので、後で思い出すのに役に立つ。
午後からは、静嘉堂文庫の近くにある世田谷美術館へ。
世田谷美術館は砧公園のなかにあるので、緑豊かで閑静な美術館だ。
企画展では銅版画家の《駒井哲郎》展が開催されていた。
入口付近に駒井哲郎の写真が展示されていて、鼻筋の通った痩身の美男子だった。
(「イケメン」というよりも、「美男子」という言葉がぴったり。)
駒井哲郎の作風は、その時々で大きく変化する。
ジョアン・ミロ風の太い墨線で描いたような作品が登場するかと思えば、パウル・クレーのような可愛いくて繊細な作品もあり、ルドンを彷彿させるモノクロの少し不気味な作品もある。
特に印象に残ったのは、詩人の安東次男とコラボレートした詩画集『からんどりえ』と『人それを呼んで反歌という』の作品群だ。
安東次男という詩人の存在をこのとき初めて知ったのだが、その詩がとてもカッコイイ!
たとえば;
霙(みぞれ)
地上に届くまえに
予感の折返点があって
そこから
腐爛した死んだ時間たちが
はじまる
風がそこに甘皮を張ると
太陽はこの擬卵を温める
空の中へ逃げてゆく水と
その水から
零れ落ちる魚たち
はぼくの神経痛だ
通行止めの柵を破った
魚たちは
収拾のつかない白骨となって
世界に散らばる
そのときひとは
漁
泊
滑
泪にちかい字を無数に思い出すが
けっして泪にはならない
この安東の詩に合わせて、駒井は骨ばった細長い魚の版画を描いている。
東洋絵画、駒井哲郎の版画、安東次男の詩。
素晴らしい出会いのあった日曜日に乾杯!
2012年6月16日土曜日
映画『悪魔の発明』
金曜日の午後、近所で開催される映画イベントに参加しました。
今日の着物は、お気に入りの亀甲文継ぎが織られた薄手の単衣紬に、紗の九寸帯を合わせました。
帯締めの結び方が、ちょっと変?
映画『悪魔の発明』は、SFの元祖ジュール・ヴェルヌが1895年に描いた『ファスオドラポワ(国旗の表)』をもとにして、人形劇映画制作で有名な映画監督カレル・ゼーマンがつくった作品。
各ショットは、ジュールヴェルヌ作品初版本の装幀挿絵に使われた銅版画のアイデアを使用しつつ実写を盛り込んだ、アニメとも実写ともつかない「動く絵本」といえるような独特の夢幻の世界で構成される。
自転車のようにペダルを漕いで動かす人力飛行機や飛行船、巨大な潜水艦や熱気球、蒸気機関の自動車など、前時代的な装置や機械が次々と登場するが、それらがどこか郷愁を誘うとともに、未来を夢見る時のような胸弾む高揚感をもたらしてくれる。
誘拐された天才老博士ロックが、みずから発明した科学技術が、悪者たちの世界制覇の道具になることを、なんとしても阻止するために、命をなげうって、爆破させてしまう。
大量破壊兵器(核兵器)の登場を予見し、それを生みだす科学者たちのモラルを問うような、意義深い映画だった。
今日の着物は、お気に入りの亀甲文継ぎが織られた薄手の単衣紬に、紗の九寸帯を合わせました。
帯締めの結び方が、ちょっと変?
映画『悪魔の発明』は、SFの元祖ジュール・ヴェルヌが1895年に描いた『ファスオドラポワ(国旗の表)』をもとにして、人形劇映画制作で有名な映画監督カレル・ゼーマンがつくった作品。
各ショットは、ジュールヴェルヌ作品初版本の装幀挿絵に使われた銅版画のアイデアを使用しつつ実写を盛り込んだ、アニメとも実写ともつかない「動く絵本」といえるような独特の夢幻の世界で構成される。
自転車のようにペダルを漕いで動かす人力飛行機や飛行船、巨大な潜水艦や熱気球、蒸気機関の自動車など、前時代的な装置や機械が次々と登場するが、それらがどこか郷愁を誘うとともに、未来を夢見る時のような胸弾む高揚感をもたらしてくれる。
誘拐された天才老博士ロックが、みずから発明した科学技術が、悪者たちの世界制覇の道具になることを、なんとしても阻止するために、命をなげうって、爆破させてしまう。
大量破壊兵器(核兵器)の登場を予見し、それを生みだす科学者たちのモラルを問うような、意義深い映画だった。
2012年6月10日日曜日
西荻茶散歩(チャサンポー)
6月最初の土曜日、西荻窪で開催されている「茶散歩(チャサンポー)」に行ってきました。
チャサンポーとは、西荻界隈84の店舗がお茶のサービスやさまざまな特典を提供して、多くの人に西荻窪の魅力を知ってもらう、という趣旨のイベントだそうです。
曇り空で、風が涼しく、着物でお散歩するにはちょうど好いお天気。
雑貨店や古書店、ギャラリーなどをぶらぶらとひやかしながら散策。
骨の本数の多い蛇目風の和傘を見つけて、着物に合いそうなので買い求めました。
……が、かなり重くて、大きい。
さした時に、人の迷惑になりそうな気が。
そうこうしているうちに、たどり着いたのが、一欅庵(いっきょあん)。
一欅庵は昭和8年に建てられた登録有形文化財の建物で、この日は、和民具や和小物の展示、書道点などが開催され、茶室では有料で呈茶のサービスもおこなわれていました。
この茶室では、お茶のお稽古もおこなわれているらしい。
2階では、着物小物作家のペタコさんと着物スタイリストの彩詠さんが、落雁の型(?)を販売されていました。
とてもこなれた着こなしをされていて、参考になったなあ。
こういう古い素敵な建物が残っていてくれて、ほんとうに嬉しい!
西荻には個性豊かな店主が経営するユニークなお店がたくさんあるので、興味がある方はぜひ足を運んでみてください。
(夢ねこもこの町が好きになりそうです。)
チャサンポーとは、西荻界隈84の店舗がお茶のサービスやさまざまな特典を提供して、多くの人に西荻窪の魅力を知ってもらう、という趣旨のイベントだそうです。
曇り空で、風が涼しく、着物でお散歩するにはちょうど好いお天気。
雑貨店や古書店、ギャラリーなどをぶらぶらとひやかしながら散策。
骨の本数の多い蛇目風の和傘を見つけて、着物に合いそうなので買い求めました。
……が、かなり重くて、大きい。
さした時に、人の迷惑になりそうな気が。
そうこうしているうちに、たどり着いたのが、一欅庵(いっきょあん)。
一欅庵の表構 |
一欅庵は昭和8年に建てられた登録有形文化財の建物で、この日は、和民具や和小物の展示、書道点などが開催され、茶室では有料で呈茶のサービスもおこなわれていました。
廊下から見た茶室 |
この茶室では、お茶のお稽古もおこなわれているらしい。
緑生い茂るお庭のつくばい |
昭和の時代から時が止まったようなセピア色の子供部屋 |
アールデコのステンドグラスの窓 |
この家を建てた辻太一の書斎 |
2階では、着物小物作家のペタコさんと着物スタイリストの彩詠さんが、落雁の型(?)を販売されていました。
とてもこなれた着こなしをされていて、参考になったなあ。
こういう古い素敵な建物が残っていてくれて、ほんとうに嬉しい!
西荻には個性豊かな店主が経営するユニークなお店がたくさんあるので、興味がある方はぜひ足を運んでみてください。
(夢ねこもこの町が好きになりそうです。)
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