2013年12月29日日曜日

「印象派を超えて 点描の画家たち」展

もう2週間前のことになるけれど、国立新美術館で開催されていた「印象派を超えて 点描の画家たち」展(クレラー=ミュラー美術館蔵作品を中心に)に行ってきた。



「ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」というサブタイトルが示すように、分割主義という科学的・理知的な点描画法を開拓したスーラや、それをさらに発展させ理論的に体系づけたシニャック、そして彼らの点描画法を感覚的に取り入れたゴッホの作品が豊富に体系づけられていて、それなりに面白い展覧会だった。

画家たちが色彩分割(筆触分割)によって「見ることの主観性」を追求した結果、最終的にたどり着いたのが、あらゆる無駄をそぎ落としたモンドリアンの《コンポジション》。

赤と青と黄色と黒と白で構成されるモンドリアンのコンポジションはいくつかのヴァージョンがあるけれど、今回展示されていた《赤と黄と青のあるコンポジション》は、「less is more(簡素であることが豊かである)」を体現した究極の絵画だと思う。

モンドリアン《赤と黄と青のあるコンポジション》1927年

画面は大きさの違う四角で構成され、四角の中の色彩のほとんどが白で、赤が10分の1程度、青はアクセント程度で、黄色はあるかないか分からないほどほんの少し。
でも、この色彩の分量と配置が絶妙なのだ。
黒いラインの太さまで、緻密に計算されている。

赤が欠けても、青が欠けても、この絵は成り立たない。
一見、存在感が薄いように見える黄色でさえも欠けてしまうと、この精妙なバランスが崩れてしまう。
この神業的なセンスと構成力は感動的だった。

モンドリアンの展示室では、モンドリアンの作品とは到底思えないほど没個性的かつ凡庸な初期の風景画も展示されていて、彼がさまざまな紆余曲折・試行錯誤を経て、かつて描かれたことのなかったミニマリズムの極致ともいえる絵画にたどりついたことがよく分かるようになっていた。
人生はこうでありたい。


スーラやシニャック、ゴッホの作品など、見ていて勉強になったけれど、個人的に好きなのはオランダの象徴主義の画家ヤン・トーロップ(《オルガンの音色》など)とヨハン・トルン・プリッカー

ヤン・トーロップは筆触の粗い作風のものもあるので、今回の展覧会では分割主義の画家として展示されていたけれど、作品から醸し出される情緒は象徴主義以外の何ものでもない。
静謐で神秘的で、どこか妖しい怖さのある絵が多かった。

プリッカーの絵はステンドグラスを思わせる神聖な宗教画。

この2人の画家の作品が一番気に入ったので、ポストカードを買おうとすると、ないのですね。
いつものことだけれど、私が気に入ったマイナーな画家の作品はポストカードになっていないことが多いのです。 

またどこかで会いましょう。ヤン・トーロップとヨハン・トルン・プリッカー。





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