2014年1月14日火曜日

心の美「富士山」を描く名画展へ

昨日は、日本橋三越で開かれていた『富士山』展の最終日へ。



着物は先日と同じ、茜色の色無地。

帯は、二重太鼓強化月間なので、金銀箔の袋帯。

この色無地には、こういう黒っぽい袋帯のほうが仲居さんっぽくならなくていいかも。


さすがは成人の日、駅でも電車でも三越でも、振袖姿の人をたくさん見かけました。

いっとき人工的なレインボーカラーの振袖が流行っていた時は、残念な感じだったけれど、

最近は、また古典柄が主流になってきているらしく、純粋に「素敵だな」って思えます。






さてさて、肝心の展覧会ですが、
富士山の絵って陳腐な感じがしてたけれど、ありきたりの画題だけに、日本画・洋画・版画の巨匠たちがそれぞれ個性や独創性を発揮していて、かなり見ごたえがありました。

富士山の絵で真っ先に思い浮かぶのが、片山珠子。
前衛的でインパクトのある日本画というイメージでそれほど好きではなかったけれど、実際に見てみると、なかなか味わい深い。

とっても高価な顔料をふんだんかつ効果的に使っていて、色彩のセンスと存在感が際立っていました。

小野竹喬の《春朝》は、竹喬らしく、幸福感を与えてくれる可愛らしい絵。


木村武山(ぶざん)という明治の日本画家は初めて知ったのだけれど、《寒林富岳》は、ふっくらとした積雪や風雪に煙る寒林の影、富岳の寒々とした空気が墨だけで表現されていて、素晴らしかった。 もっと評価されていい画家じゃないかな。

新しいところでは、関口雄揮(ゆうき)の《明けゆく》も、暁の光に照らされた富士の雪の質感や、山容を映す静謐な湖の水面の表現が見事。


そして一番印象的だったのが、稗田一穂の《富士の見える駅》。
4本の線路が2本に合流する踏切を、犬を連れた令嬢が渡ろうとしている何気ない駅の風景。
線路沿いの家の庭には桜が咲いていて、うららかな春の日常的な一こま。
線路が消えていく山並みのさらに向こうに、雪化粧の溶けない富士の山頂が覗いている、という絵。

富士山って全体の姿も美しいけれど、何かの拍子に富士の山頂だけひょいと見えると、なんだか幸せな気分になる。

《富士の見える駅》は、そのちょっとした幸せを巧みに描きこんだ素敵な絵でした。
























2014年1月12日日曜日

紋なしの色無地

着こなしの幅が広がりそうで広がらない、紋なしの色無地。                                             



とくに、今の時期はコートを脱ぐ機会が少ないのでコーディネートもテキトーになりがちです。


↓ 下は去年のクリスマスのコーディネート。

といっても、誰もクリスマスっぽいって気づかないだろうから、完全に自己満足ですね。

(写真では鮮やかな赤だけれど、実際はもう少し落ち着いた茜色です。)



紋なしの色無地って、柄半襟などと組み合わせると、もっと楽しめるのかなー。


この着物、だいぶ布が弱ってきているので、この1,2年で着倒すつもりです。                                           


2014年1月11日土曜日

祖母の着物と羽織

なつかしい人の着物を身にまとうことで、その人の面影や思い出を偲ぶことができるのも、
着物の良さのひとつ。

去年他界した祖母の着物に初めて袖を通してみました。
(写真で改めて自分の後ろ姿を見てみると、母そっくりです。骨格が似ているからかなー。)




祖母は祖母の年代ではおそらく平均身長くらいだったと思うけれど、背丈が170cmの私とはかなりの身長差があります。

だから、まさか祖母の着物が着れるとは思ってもみなかったけれど、工夫をすれば
おはしょりがとれるくらいの着物が奇跡的に数枚ほど見つかったのです。





この黒羽織の後ろ身頃と袖にあしらわれた薔薇の刺繍が可愛くてとても綺麗……。

祖母も着物が好きで、生前は私の着物姿を見て喜んでくれたものでした。


今では親戚の中で着物を楽しむ人は私以外にはいないから、私が譲り受けなければ、捨てられる運命にあった着物です。

だから大切に着ていかなくては。




前から見るとこんな感じ。↑

着物はお召なのだろうか。

黒の刺繍半襟をつけてしまったけれど、白半襟のほうがスッキリしたかも。

掛け襟は汚れていたので、取ってしまいました。


派手な着物だから、シックな羽織や小物で調整しないと難しいですね。

2014年1月4日土曜日

IKESHOKU展&純国産宝絹展

正月4日は伊勢丹新宿店で開催されているIKESHOKU展&純国産宝絹展へ。

他にも歌舞伎ファッションミュージアムや着物トークショーなどもあって、着物好きにはパラダイスのような店内でした。

イケてる職人たちによる「IKESHOKU展」
今日のお目当ては、箏奏者の中しまりんさんと、篠笛の佐藤和哉さん、アコースティックギターのギター奏者大里健伍さん、トランペットの秋山璃帆さんによる異色のコラボライブ。

中しまりんさんは、ラメがたくさん入った黒地の付け下げに、ビーズ刺しゅうの半襟、帯締めを水引風に締めていて、とってもお洒落でセンスがいい。
もともとお綺麗な方なので何を着ても似合うのだろうけれど、さらにご自分を演出する着物スタイルをしっかりと持っていらっしゃるように思いました。

篠笛の佐藤和哉さんは立ち居振る舞いや所作が優雅で美しい人でした。
篠笛の演奏というのはあまり馴染みがなかったのですが、能管よりも低音でどっしりとした感じ。
正直言うと、トランペットや箏の音にかき消されて、篠笛の音色を味わうところまではいかなかったので、今度じっくり篠笛だけの演奏を堪能したいものです。

トランペットの秋山璃帆さんはアンティークの鮮やかな着物に袴姿でかなり個性的な出で立ちでした。大里さんのアコースティックギターは残念なことにほとんど聞こえなかった……。

PAがないので、こういうライブではヴォリュームのバランスが難しいですね。
特に、楽器が和洋折衷だから。


肝心のIKESHOKU展は、
私のような小心者には敷居が高く、入りにくい照明&ディスプレイだったので、怖気づいてしまって、とうとう足を踏み入れることができませんでした。


その代わり、7階の呉服売り場で開催されていた「純国産宝絹展」へ。
こちらの方が、私には数倍入りやすかったです。


見学していると、担当の方が丁寧に説明してくださったうえに、写真のような純国産の繭玉と繭玉と撚った糸束をいただきました。

繭玉を振るとカタカタ鳴って、なかにお蚕さまが入っているのが分かります。
こうしてお蚕さまが命がけで紡いだ絹をまとっているのですね。

繭玉って、見ているだけで、心が和んであたたかくなります。


結城紬地機実演
 
焦げ茶地に赤や黄色に染めた糸をところどころに織り込んでいきます。

1枚の反物が仕上がるのに7カ月はかかるとか。

絹糸に負担がかからないよう化学染料で染めているそうです。
(化学染料のほうが染色に負担がかからないのですね。初めて知りました。)



座操り実演
繭から糸を紡いでいくところです。

細い細い糸が切れないように、撚り合わせた糸がしっかり接合するように、絶妙な引っ張り加減、距離感、タイミングで機械が動いていきます。


紡がれた絹糸

蚕1匹が吐く糸の長さは1.5kmもあるとか。

蚕の生命力って本当にすごい!

ますます絹の着物が愛おしくなりました。 大切に着なければ。



江戸組紐制作実演
今では「組紐=帯締め」というイメージですが、明治(あるいは戦前)は帯締めといえば、丸ぐけが一般的だったので、組紐はもっぱら刀の下げ緒や巻き物の飾り紐などに使われていた、と職人さんがおっしゃっていました。

写真で制作している帯締めを仕上げるのに丸一日かかるそうです。
写真は16玉ですが、多いものでは32玉、48玉とか組目が密で細かいものもあるそう。
でも、8玉などの組目が大きい方が、技術の差が出やすいとのこと。
なるほどー。

やはり機械織りよりも、手組のもののほうが断然美しい。

私はこの日は機械織りの高麗組の帯締めを締めていたので、コートを着ていてよかった!
機械織りの帯締めでは、組紐職人さんの前にとてもじゃないけど立てません……。



6階の歌舞伎ファッションミュージアムでは歌舞伎の衣装が13点展示されていて、これもかなり見ごたえがありました。

特に目を奪われたのが、先代萩の政岡の衣裳だった黒繻子地雪持竹南天雀文様裲襠。

竹に雀で伊達家を象徴しているそうです。雀がなんとも愛らしい。

黒繻子地に、雪の白と南天の赤、竹の黄色の刺繍が美しく映えていて、いつまで見ていても見飽きない。


というわけで、着物の美しさに浸りきった一日でした。



運気アップ(?)コーディネート

新宿伊勢丹のIKESHOKU展へ行った時のコーディネート。


叔母から譲り受けた綸子の色無地。

かなりピカピカで派手な色合いの着物なので敬遠していたけれど、青海波の地紋はおめでたい柄だし(大海原の穏やかな波のような天下泰平を願う吉祥文)、金色なのでさらなる運気アップを狙って、お正月だから袖を通してみました。

帯は、今月は袋帯(二重太鼓)強化月間にしているので、名物裂の袋帯。

大海原のブルーを意識した水色の帯揚げと帯締め。



とはいえ、出先では一度もコートを脱がなかったので、外見はこんな ↑ 感じでした。

お能などの観劇やお食事の時はコートを脱ぐので帯周りを見せられるけれど、冬場のお出かけはコートを着たままのことが多いので、帯や小物のコーディネートを考えても、完全に自己満足でつまらなかったりします。

2014年1月2日木曜日

正月2日は初詣

2日は家族で初詣へ。

初めて訪れる阿佐谷神明宮。境内には立派な能舞台がありました。


2日の午前中は狂言と能が奉納されます。

今日も東京は雲ひとつない快晴で、絶好の観能日和。

写真撮影OKだったようなので、演者の顔があまり出ない程度にアップしますね。

舞台清祓いの儀

演能の前に、神職の方々によって舞台の清祓いがなされます。

まず、右側の神主さんが榊で舞台の四方を清め、それから見所に向かって榊を振り、観客たち(私たち)も清めてくださいました(少しはケガレが落ちたでしょうか)。

次に、鉾を持った禰宜の方が同様に舞台を清め、

最後に右側の神主さんが弓を引いて、矢を射る真似をしながら、魔を破り、厄落しをします。

このように清められた神聖な舞台の上で演能が始まります。



狂言《酢薑》
《高砂》の独調(謡・廣田幸稔、太鼓・徳田宗久)の後、大蔵流狂言《酢薑(すはじかみ)》。

面白かったけれど、この辺りから寒さが身に沁みてきて、集中力が……。

昼間の晴天で、防寒対策も万全で(ヒートテック3枚重ねに、カイロ2枚張り、真綿紬の着物に長羽織、首回りにはショールをぐるぐる巻き、手にはロンググローブをはめて)臨んだけれど、冬場の野外能はやっぱり寒い。


能《田村》

お目当ての半能《田村》。シテは工藤寛師で、ワキは安田登師。

金剛流のお能をライブで見るのは初めて。

野外能なので他流と比べようもないけれど、足の運びが速めなのが印象的でした。
(「舞金剛」の特徴なのかな。)

軽快で勇壮な舞が新春にふさわしい感じで良かったし、なによりも神社に奉納されるお能は、いつにも増しておごそかな感じがするので、味わい深さもひとしおです。


この後、参拝して、甘酒をいただいて、食事をして、家の近くの伊勢丹で夫に福袋を買ってもらって……というスタンダードなお正月らしいコースをたどって帰宅。



デパートの前で偶然遭遇した獅子舞のパフォーマンス。

昨日に引き続き、私が求めていた日本らしいお正月を堪能できた気がします。

2014年1月1日水曜日

元旦は着物で能楽堂へ

あけましておめでとうございます!

東京は快晴で風もなく、穏やかな元旦でした。この一年も平穏な年でありますように。

ここ何年か正月休みもなく仕事三昧だったので、久々にお正月らしい正月を満喫している夢ねこです。




元旦は午後から梅若謡初式に行くために、ちょっぴり改まったコーディネート。

着物はお正月らしく、百花の王・牡丹柄の付け下げ。

帯は、格式の高い演目が続くので、亀甲の地紋に向鶴と金の立涌が織り込まれた佐賀錦の袋帯(能の《鶴亀》を意識して)。

帯揚げは白にしようかなと思ったけれど、フォーマルになりすぎるのもつまらないので、ピンクで遊んでみました。



画像だと派手な色ですが、実際はもう少し落ち着いた色です(;^_^A




お正月だから着物姿の人もさぞかし多いはず、と期待して出かけたのだけれど、電車の中でも誰一人見かけず……そんなものなのかな。

華やかな和服姿にようやく出会えたのは、能楽堂に入ってからでした。

能楽堂の中にはお正月らしい飾りもあって、ここだけは古き良き日本の正月が堪能できる空間です。 なんだかほっとしますね。



梅若家らしく、紅梅が見事でした。
(今日の演目の1つ《東北》の和泉式部の「軒端の梅」を思わせます。)

注連縄を張り巡らせた神聖で清らかな能舞台上で、舞囃子や連吟、仕舞が続きます。


特に、梅若紀彰さまの《高砂》は、もう感動ものでした。

端正で切れのいい紀彰さまの舞いに、ノリノリのお囃子。

「時間よ、止まれ!」とお祈りしたくなるくらい。

いつまでも、永遠に見ていたい素敵な舞囃子でした。

林雄一郎さんの洗練された撥さばきと透明感のある掛け声もカッコイイ!


元旦早々、素晴らしい舞とお囃子で心身ともに浄化された感じです。

夢ねこにとっては、お能が究極のエステ&ヒーリングなのです。