着物は先日と同じ、茜色の色無地。
帯は、二重太鼓強化月間なので、金銀箔の袋帯。
この色無地には、こういう黒っぽい袋帯のほうが仲居さんっぽくならなくていいかも。
さすがは成人の日、駅でも電車でも三越でも、振袖姿の人をたくさん見かけました。
いっとき人工的なレインボーカラーの振袖が流行っていた時は、残念な感じだったけれど、
最近は、また古典柄が主流になってきているらしく、純粋に「素敵だな」って思えます。
さてさて、肝心の展覧会ですが、
富士山の絵って陳腐な感じがしてたけれど、ありきたりの画題だけに、日本画・洋画・版画の巨匠たちがそれぞれ個性や独創性を発揮していて、かなり見ごたえがありました。
富士山の絵で真っ先に思い浮かぶのが、片山珠子。
前衛的でインパクトのある日本画というイメージでそれほど好きではなかったけれど、実際に見てみると、なかなか味わい深い。
とっても高価な顔料をふんだんかつ効果的に使っていて、色彩のセンスと存在感が際立っていました。
小野竹喬の《春朝》は、竹喬らしく、幸福感を与えてくれる可愛らしい絵。
木村武山(ぶざん)という明治の日本画家は初めて知ったのだけれど、《寒林富岳》は、ふっくらとした積雪や風雪に煙る寒林の影、富岳の寒々とした空気が墨だけで表現されていて、素晴らしかった。 もっと評価されていい画家じゃないかな。
新しいところでは、関口雄揮(ゆうき)の《明けゆく》も、暁の光に照らされた富士の雪の質感や、山容を映す静謐な湖の水面の表現が見事。
そして一番印象的だったのが、稗田一穂の《富士の見える駅》。
4本の線路が2本に合流する踏切を、犬を連れた令嬢が渡ろうとしている何気ない駅の風景。
線路沿いの家の庭には桜が咲いていて、うららかな春の日常的な一こま。
線路が消えていく山並みのさらに向こうに、雪化粧の溶けない富士の山頂が覗いている、という絵。
富士山って全体の姿も美しいけれど、何かの拍子に富士の山頂だけひょいと見えると、なんだか幸せな気分になる。
《富士の見える駅》は、そのちょっとした幸せを巧みに描きこんだ素敵な絵でした。
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