W帰省3日目、最初に訪れたのが、東出雲町の揖夜神社。
主祭神はイザナギ。配神は、大己貴命(大国主命)、少彦名命、事代主命。
日本書紀には「言屋社(いふやのやしろ)」、出雲国風土記にも「伊布夜社(いふやのやしろ)」の記述があり、非常に古い神社であることが分かる。
日本最古の建築様式、大社造。
左巻きの大きな注連縄も出雲地方ならでは。
絵馬が奉納されていた。
境内には他に参拝者はなく、静かで厳かな雰囲気。
右手にあるのは、樹齢何年だろう、神が宿っていそうな古木(神木)が立っていた。
本殿の右手にある三穂津姫神社。
三穂津姫(ミホツヒメ)は、大国主命の妃神で、美保関の「ミホ」の名前の由来にもなった女神様。
当然ながら、後で行く美保神社の祭神の1人でもある。
揖夜神社から車で数分走ったところに、黄泉比良坂伝承地がある。
以下は、黄泉比良坂伝承の概略;
イザナギ・イザナミは多くの神々を生みだしたが、火の神カグツチを出産したイザナミは女陰(ほと)を焼かれて死亡する。
イザナギはイザナミの後を追って黄泉の国へ赴くが、イザナミの変わり果てた姿を見て、逃げ帰ろうとする。
自分の醜い姿を見られて恥辱に震えたイザナミは、醜女や悪霊にイザナギを追いかけさせる。
イザナギが竹の櫛や木の蔓を投げつけると、タケノコが生えたり葡萄がなったりして、醜女たちがそれらを食べている隙に、黄泉の国と地上の境である黄泉比良坂の坂本までたどり着く。
坂本に桃の木があったので、イザナギが桃の実を3つ投げたところ、追ってきた悪霊たちはようやく退散する。
最後に、イザナミ本人が追いかけてきたため、イザナギは千人がかりでなければ動かないといわれる大岩で黄泉比良坂をふさぎ、岩を挟んで夫婦は別れることとなったという。
黄泉比良坂は、この世とあの世の境界であると同時に、始原の男女の別離の場でもあるのですね……。
太古の沼地ともいえるような小さな池の橋を渡ると、
このように結界が張られている場所に至る。
結界をくぐった先には、
「神蹟 黄泉平坂 伊賦夜坂 傳承地」の石碑があり、
さらにその先には、黄泉比良坂をふさいだとされる大岩が……。
「千人がかりでなければ動かない」というのは大げさだけれど、かなり大きな岩でした。
ここを訪れるのは十数年ぶりですが、この日も、訪れる人は私たちだけで、「知る人ぞ知る」神話の地のままだったのが嬉しい。
このまま観光汚染されずに、神聖な場所のままであってほしいと願いながら、この地を後にしました。
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