2014年3月2日日曜日

第45回東京都民俗芸能大会

初めて足を運んだ東京都民俗芸能大会(@東京芸術劇場)。


東京に、これほど豊かな民俗芸能が生き生きと存続していたとは!
いやあ、新鮮な衝撃でした。

 もっと遠方の、秘境のような山里や山岳地方にしか保存されていないと思っていた貴重な神楽がたくさん残っていて、それをホールで見ることができるなんて、なんて贅沢なんだろう!

以下は印象に残った出演団体の覚書;
 

●江戸の里神楽(山本頼信社中/稲城市)●

式内穴澤神社の神職および神楽を代々継承する社家・山本家の社中による里神楽。

この里神楽は、中世の巫女舞を起源とし、江戸中期に古事記などの神話を題材にした黙劇に、衣裳や面、振付をつけて演じるようになったという。

現在の当主は十九世山本頼信氏で、平成6年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

 

今回上演されたのは「天の浮橋」。

イザナギ・イザナミが高天原の神からアメノヌボコという矛を授けられ、舞いながら大海に矛を刺し下ろす。引き揚げられた矛から雫が落ち、それが固まってできたのがオノコロ島。その後、イザナミは数々の神々を産むが、最後に火の神を出産した際に、火傷を負って黄泉の国へと旅立っていく。イザナギは愛する妻を連れ戻すべく、黄泉の国へ向かう――というストーリー。

 

イザナギの面がとってもハンサム。

イザナミは、おかめ風の顔立ちで、おっとり穏やかな雰囲気だった。

男神・女神が手を合わせて、矛で海水をかきまぜる仕草には、見ていて少し恥ずかしくなるような、土着的なエロティシズムが漂う。

なるほど、これが多神教ならではの神話の世界なのだと思った。

 

足の運びはすり足だし、囃子も笛と太鼓と羯鼓のような打楽器という、宮中御神楽(雅楽)や能楽的な要素を持ちながらも、素朴なところが里神楽の醍醐味だと思う。

大國魂神社などの神社祭礼で、奉納されるそうだから、今度ぜひ神社で見てみよう。

 

 

武蔵御嶽神社太々神楽

武蔵御嶽神社の太々神楽は、「素面神楽」と「面神楽」に大別される。

今回、上演されたのは素面神楽の「奉幣」、「剪」と面神楽の「天孫降臨」。

 

「奉幣」はジャンル的には素面神楽だけれど、現在は翁面をつけ、右手に鈴、左手に御幣を持ちながら、舞台の中央と四方を祓い清めながら舞う。

ただし、足踏みをして四方固めをするような動きをしないのが印象的だった。

 

「剪」では、左手に太刀、右手に鈴を持った2人の男性が、相舞のように舞いながら邪気を祓っていく。神聖で厳かな雰囲気の雅楽のような舞に会場も静まり返っていた。

 

「天孫降臨」では、サルタヒコとアメノウズメが鈴舞を舞い、ニニギノミコトを先導する。サルタヒコは天狗面をかけ、アメノウズメは目がぱっちりした若女のような面をつけ天冠を被り、紅入唐織に大口といった能装束のような出で立ち。

足の運びも、サルタヒコとアメノウズメは、斜め方向に爪先を突きだす独特のすり足で、ニニギノミコト(端正な貴人の面をかけ、高貴な紫の衣を着て、笏を持っている)だけが能楽風の踵を床から離さないすり足だった。

囃子の構成は、笛2人と太鼓1人に羯鼓が1人。

 

翁舞や能装束に似た装束、すり足や囃子方など、能の原形のような神楽は興趣が尽きない。

 

 

 

●数馬の太神楽●
(西多摩郡檜原村九頭龍神社9月第2日曜の例祭で奉納)

伊勢神楽の系統に属するという数馬の太神楽。

今回は、「天の岩戸」伝説をモティーフにした剣の舞が上演された。

一人立ちの獅子が、2本の太刀で舞いながら悪魔払いをするのだけれど、この舞がなんともコミカル!

剣舞って勇壮なイメージだけれど、そうした豪快さとはかけ離れていて、ふざけたように体をくねらせ、足を小刻みに動かしながらチョコチョコ歩く、一方変わった(ある意味前衛的な)舞だった。

伊勢神楽ってこういう感じなのかなー。

でも、重さ4~5kgもある獅子頭をかぶってステージ中を動き回るので、演者の方はハーハーと辛そうな息をされていた。

きっと見た目の何十倍もハードなのだろう。

 

 

 

江戸太神楽(丸一仙翁)●

1日目は獅子舞を上演。

2日目は、大雪被害のため「川野の車人形」保存会の方々が参加できなくなったので、丸一仙翁の方がたが獅子舞に続いて、曲芸を披露して下さった。

最初は傘に毬を載せてまわす曲芸。

一通り毬を載せて回した後、丸一仙翁さんが「客席から毬を投げてください」と最前列に座っていた私に毬を回したので、私がテキトーに毬を投げると、見事に傘でキャッチして回してくれました。

その後、茶碗や枡を傘で回す芸から、輪投げみたいな曲芸を経て、花籠毬(別名どんつく)という変わった芸へ。

どんつくは説明が難しいので、こちらをご覧ください。

剣玉よりもはるかに複雑で、難しそうな曲芸です。

江戸時代から脈々と伝わっている芸。

ずっと続いてほしいです。

 

2014年1月26日日曜日

東京都伝統工芸品展

お能を観た後は、
新宿高島屋で開かれている「東京都伝統工芸品展」へ。

江戸刺繍

草乃しずか展に入って以来、刺繍の魅力にめざたものだから、

今回も江戸刺繍に興味津々。


江戸刺繍と普通の日本刺繍の技術的な違いは分からないけれど、

江戸刺繍のほうが模様のあしらい方が、抑制が効いていて、

シンプルで粋な感じがしました。




江戸刺繍の実演

竹枠の中の薄布に、繊細な絹糸を指していきます。

気の遠くなるような緻密な作業。



江戸押絵羽子板

「押絵」といえば、乱歩の『押絵と旅する男』を思い出しますが、

この「むさしや豊山」さんの工房では、羽子板を専門に制作しているとのこと。

歌舞伎の連獅子や勧進帳をモチーフにした押絵は迫力満点。

江戸時代には、庶民がそれぞれの贔屓役者の羽子板を競って買いあつめ、
人気を博したそうです。


お店でいただいたパンフレットによると;

羽子板は、古くは神社などで、魔除けや占いの神事に使われていて、
(絵馬みたいなものだったのかな?)
お正月の遊戯や贈答品に使われたのは室町期。

綿を布でくるんで、立体的な絵柄に仕上げる「押絵」が羽子板に
取り入れられるようになったのは江戸時代になってからといいます。

江戸時代後期には、歌舞伎役者の舞台姿を写した押絵羽子板が登場し、
歌舞伎の発展とともに、その技術も発達したそうです。

ということは、役者絵の押絵羽子板は、江戸ならではなのですね。

パンフレットには制作過程も詳しく書かれていて、なかなか興味深い。

 外国の人へのプレゼントにも喜ばれそう。


江戸染小紋


着物関係では、江戸更紗や東京本染ゆかた、東京手描友禅、東京無地染などもありました。


ちょうど色無地の染め替えor色かけを思案中だったので、無地染の職人さんに
相談したかったのだけれど、私が行った時は職人さんは休憩中でどこかに行っていて、
留守番の人しかいなかったので、相談できず。

結婚の時、母が持たせてくれた色無地なので(当時20代初めだったから色も派手なのです)、なんとか生かしたいなーと思っています。
一度しか袖を通していないから、今度は末永く着られる色がいいな。




















春らしい(?)付下げ小紋♪

陽射しが春らしくなってきました。


少し前のコーディネート。

灰色がかった紫色の付け下げ小紋に、小物は春らしくピンクを合わせてみました。



                       全身像はこんな感じ ↑。


裾模様が華やかなので、ちょっとおめかししたい時にいいのかも。

これから春に向けて活躍しそうです。




更紗っぽい裾模様が可愛くて、気に入っています。










2014年1月18日土曜日

草乃しずかの世界展

土曜日は、年末から気になっていた松屋銀座『草乃しずか世界展』へ。


会場内は大変混雑していて、しかも、近年まれにみる着物率の高さ!
皆さんかなり気合を入れたコーディネートで、来場者を見るているだけでも眼福、眼福。

展示作品は想像以上に素晴らしいものでした。

細かく繊細な日本刺繍。 細い絹糸で施した美しい文様。

柔らかい絹布だけでなく、シフォンのように薄い布にも刺繍が施されていて、まるで貼りつけたように引きつれもムラもない、恐ろしく緻密な手仕事。

もう、「手先が器用」などというレベルの話ではなく、まさに神業のような「刺繍の至芸」でした。


源氏物語シリーズ《夢浮橋》

そうした高度な技術もさることながら、草乃しずか先生の素晴らしさは、なんといってもそのたぐいまれなデザイン感覚と色彩感覚、そして刺繍によって紡ぎだす独自の文学的・絵画的世界です。

たとえば、↑ 上の源氏物語五十四帖の《夢浮橋》では、2人の殿方に愛されて苦悩する浮舟の出家前の迷いの世界と、出家後の決然とした世界を黄色と青で染め分けているそうです。

紫式部の象徴である藤の花がデフォルメされた形で、出家前と後の世界を分けていて、琳派的な美の世界を表現しています。


十二ケ月の着物がたり

作品を単に展示しているだけでなく、季節ごとのさまざまなシーンを想定したコーディネートが紹介されていたのも、着物好きには嬉しい限り。


写真のように、着物や帯・半襟だけでなく、バッグや帯揚げ、丸ぐけの帯締め、草履の鼻緒など、小物にも、四季の移ろいを感じさせる精緻で可愛らしい刺繍が施されていて、素敵でした。


印象的だったのは、2月の豆まきを主題にした帯や、8月の金魚と花火をテーマにした帯など。

刺繍に、ビーズやレース、スワロフスキーなどもあしらわれていて、キラキラ輝く万華鏡のような世界。

乙女心をくすぐります。


篤姫に捧げる浅葱色麻地江戸解き模様刺繍

また、草乃先生のご両親やお義母さま、お祖母さまの形見の着物や帯に刺繍を加えて作品にしたシリーズにも心惹かれました。

私も先日、亡き祖母の着物を着てみたけれど、懐かしい人の思い出の着物に手を加えて甦らせるって素敵だな。


先生の最近の作品では、アフリカの動植物やエジプトの壁画(ヒエログリフなど)、ペルシャの獅子狩紋などをモチーフにしたものもあって、いくつになっても瑞々しい感性をお持ちなんですね。

先生は私の母と同世代ですが、とても若々しい。
才能を発揮できる何かを持っていること(+人から注目されること、目的意識を持つこと)が、若さの秘訣なのですね。
ビデオの中で先生は、「刺繍で世界を変える!」とおっしゃっていました。
いくつになっても遠大な夢を持ち続けるという、そのパワーが凄い!


サイン会で先生のお姿を拝見しましたが、江戸紫の地に刺繍を施したお着物に刺繍半襟、刺繍帯(おそらくどれもご自身の作品)をお召になっていて、素敵な方でした。


やはり美的センスが優れている人って、何をどう着こなせば自分が綺麗に見えるかを心得ているんですね。

感性の柔軟さ、繊細さって、いくつになっても大切なんだなと改めて思いました。



刺繍と着物の世界を存分に堪能した展覧会でした。
着物のコーディネートに刺繍半襟などを少しずつ取り入れていけたらいいな。

ちなみに、ミュージアムショップに、先生の作品(?)らしき刺繍入りバッグや帯、半襟も販売されていて、刺繍半襟は3~5万円台。
ちょっと手が出なかったけれど、先生の作品だったらそれくらいは当然かもしれません。
(たとえ購入したとしても、もったいなくて、私には使えないだろうな。)



































2014年1月14日火曜日

昭和モダン

三越本館の中央ホールでは、映画『小さなおうち』の昭和モダンな世界観を再現したカフェが設けられていました。


『小さなおうち』は直木賞受賞時に読んだけれど、映画は昭和らしい映像(特に着物姿)がなんといっても魅力です。
(『利休にたずねよ』といい、直木賞作品の映画化がちょっとしたブームなのだろうか。)




↑ こういう銘仙の着物や羽織って大好き。

あの時代のファッションを見ると、胸がときめきます。





割烹着キューピー。

三越の昭和カフェでは、こういう割烹着姿の女給さん(?)が給仕をされていました。




映画の部屋を再現したセット。 なかの小物もレトロなものばかり。

カフェでは、映画の中で出演者が着た着物のコーディネートも展示されていて、わくわくドキドキ。

ちょうど骨董市で売っているような着物でした。

古い着物はマネキンに着せたり、映画の中で見たりすると素敵なんだけれど、実際に着ると、街中ではかなり浮くから(コスプレになるから)、見るだけしか楽しめない。
(サイズも合わないしね)

でも、着物の昭和っぽい着こなしって好きだなあ。

センス良く、現代のコーディネートに取り入れられたらいいな……。

心の美「富士山」を描く名画展へ

昨日は、日本橋三越で開かれていた『富士山』展の最終日へ。



着物は先日と同じ、茜色の色無地。

帯は、二重太鼓強化月間なので、金銀箔の袋帯。

この色無地には、こういう黒っぽい袋帯のほうが仲居さんっぽくならなくていいかも。


さすがは成人の日、駅でも電車でも三越でも、振袖姿の人をたくさん見かけました。

いっとき人工的なレインボーカラーの振袖が流行っていた時は、残念な感じだったけれど、

最近は、また古典柄が主流になってきているらしく、純粋に「素敵だな」って思えます。






さてさて、肝心の展覧会ですが、
富士山の絵って陳腐な感じがしてたけれど、ありきたりの画題だけに、日本画・洋画・版画の巨匠たちがそれぞれ個性や独創性を発揮していて、かなり見ごたえがありました。

富士山の絵で真っ先に思い浮かぶのが、片山珠子。
前衛的でインパクトのある日本画というイメージでそれほど好きではなかったけれど、実際に見てみると、なかなか味わい深い。

とっても高価な顔料をふんだんかつ効果的に使っていて、色彩のセンスと存在感が際立っていました。

小野竹喬の《春朝》は、竹喬らしく、幸福感を与えてくれる可愛らしい絵。


木村武山(ぶざん)という明治の日本画家は初めて知ったのだけれど、《寒林富岳》は、ふっくらとした積雪や風雪に煙る寒林の影、富岳の寒々とした空気が墨だけで表現されていて、素晴らしかった。 もっと評価されていい画家じゃないかな。

新しいところでは、関口雄揮(ゆうき)の《明けゆく》も、暁の光に照らされた富士の雪の質感や、山容を映す静謐な湖の水面の表現が見事。


そして一番印象的だったのが、稗田一穂の《富士の見える駅》。
4本の線路が2本に合流する踏切を、犬を連れた令嬢が渡ろうとしている何気ない駅の風景。
線路沿いの家の庭には桜が咲いていて、うららかな春の日常的な一こま。
線路が消えていく山並みのさらに向こうに、雪化粧の溶けない富士の山頂が覗いている、という絵。

富士山って全体の姿も美しいけれど、何かの拍子に富士の山頂だけひょいと見えると、なんだか幸せな気分になる。

《富士の見える駅》は、そのちょっとした幸せを巧みに描きこんだ素敵な絵でした。
























2014年1月12日日曜日

紋なしの色無地

着こなしの幅が広がりそうで広がらない、紋なしの色無地。                                             



とくに、今の時期はコートを脱ぐ機会が少ないのでコーディネートもテキトーになりがちです。


↓ 下は去年のクリスマスのコーディネート。

といっても、誰もクリスマスっぽいって気づかないだろうから、完全に自己満足ですね。

(写真では鮮やかな赤だけれど、実際はもう少し落ち着いた茜色です。)



紋なしの色無地って、柄半襟などと組み合わせると、もっと楽しめるのかなー。


この着物、だいぶ布が弱ってきているので、この1,2年で着倒すつもりです。                                           


2014年1月11日土曜日

祖母の着物と羽織

なつかしい人の着物を身にまとうことで、その人の面影や思い出を偲ぶことができるのも、
着物の良さのひとつ。

去年他界した祖母の着物に初めて袖を通してみました。
(写真で改めて自分の後ろ姿を見てみると、母そっくりです。骨格が似ているからかなー。)




祖母は祖母の年代ではおそらく平均身長くらいだったと思うけれど、背丈が170cmの私とはかなりの身長差があります。

だから、まさか祖母の着物が着れるとは思ってもみなかったけれど、工夫をすれば
おはしょりがとれるくらいの着物が奇跡的に数枚ほど見つかったのです。





この黒羽織の後ろ身頃と袖にあしらわれた薔薇の刺繍が可愛くてとても綺麗……。

祖母も着物が好きで、生前は私の着物姿を見て喜んでくれたものでした。


今では親戚の中で着物を楽しむ人は私以外にはいないから、私が譲り受けなければ、捨てられる運命にあった着物です。

だから大切に着ていかなくては。




前から見るとこんな感じ。↑

着物はお召なのだろうか。

黒の刺繍半襟をつけてしまったけれど、白半襟のほうがスッキリしたかも。

掛け襟は汚れていたので、取ってしまいました。


派手な着物だから、シックな羽織や小物で調整しないと難しいですね。

2014年1月4日土曜日

IKESHOKU展&純国産宝絹展

正月4日は伊勢丹新宿店で開催されているIKESHOKU展&純国産宝絹展へ。

他にも歌舞伎ファッションミュージアムや着物トークショーなどもあって、着物好きにはパラダイスのような店内でした。

イケてる職人たちによる「IKESHOKU展」
今日のお目当ては、箏奏者の中しまりんさんと、篠笛の佐藤和哉さん、アコースティックギターのギター奏者大里健伍さん、トランペットの秋山璃帆さんによる異色のコラボライブ。

中しまりんさんは、ラメがたくさん入った黒地の付け下げに、ビーズ刺しゅうの半襟、帯締めを水引風に締めていて、とってもお洒落でセンスがいい。
もともとお綺麗な方なので何を着ても似合うのだろうけれど、さらにご自分を演出する着物スタイルをしっかりと持っていらっしゃるように思いました。

篠笛の佐藤和哉さんは立ち居振る舞いや所作が優雅で美しい人でした。
篠笛の演奏というのはあまり馴染みがなかったのですが、能管よりも低音でどっしりとした感じ。
正直言うと、トランペットや箏の音にかき消されて、篠笛の音色を味わうところまではいかなかったので、今度じっくり篠笛だけの演奏を堪能したいものです。

トランペットの秋山璃帆さんはアンティークの鮮やかな着物に袴姿でかなり個性的な出で立ちでした。大里さんのアコースティックギターは残念なことにほとんど聞こえなかった……。

PAがないので、こういうライブではヴォリュームのバランスが難しいですね。
特に、楽器が和洋折衷だから。


肝心のIKESHOKU展は、
私のような小心者には敷居が高く、入りにくい照明&ディスプレイだったので、怖気づいてしまって、とうとう足を踏み入れることができませんでした。


その代わり、7階の呉服売り場で開催されていた「純国産宝絹展」へ。
こちらの方が、私には数倍入りやすかったです。


見学していると、担当の方が丁寧に説明してくださったうえに、写真のような純国産の繭玉と繭玉と撚った糸束をいただきました。

繭玉を振るとカタカタ鳴って、なかにお蚕さまが入っているのが分かります。
こうしてお蚕さまが命がけで紡いだ絹をまとっているのですね。

繭玉って、見ているだけで、心が和んであたたかくなります。


結城紬地機実演
 
焦げ茶地に赤や黄色に染めた糸をところどころに織り込んでいきます。

1枚の反物が仕上がるのに7カ月はかかるとか。

絹糸に負担がかからないよう化学染料で染めているそうです。
(化学染料のほうが染色に負担がかからないのですね。初めて知りました。)



座操り実演
繭から糸を紡いでいくところです。

細い細い糸が切れないように、撚り合わせた糸がしっかり接合するように、絶妙な引っ張り加減、距離感、タイミングで機械が動いていきます。


紡がれた絹糸

蚕1匹が吐く糸の長さは1.5kmもあるとか。

蚕の生命力って本当にすごい!

ますます絹の着物が愛おしくなりました。 大切に着なければ。



江戸組紐制作実演
今では「組紐=帯締め」というイメージですが、明治(あるいは戦前)は帯締めといえば、丸ぐけが一般的だったので、組紐はもっぱら刀の下げ緒や巻き物の飾り紐などに使われていた、と職人さんがおっしゃっていました。

写真で制作している帯締めを仕上げるのに丸一日かかるそうです。
写真は16玉ですが、多いものでは32玉、48玉とか組目が密で細かいものもあるそう。
でも、8玉などの組目が大きい方が、技術の差が出やすいとのこと。
なるほどー。

やはり機械織りよりも、手組のもののほうが断然美しい。

私はこの日は機械織りの高麗組の帯締めを締めていたので、コートを着ていてよかった!
機械織りの帯締めでは、組紐職人さんの前にとてもじゃないけど立てません……。



6階の歌舞伎ファッションミュージアムでは歌舞伎の衣装が13点展示されていて、これもかなり見ごたえがありました。

特に目を奪われたのが、先代萩の政岡の衣裳だった黒繻子地雪持竹南天雀文様裲襠。

竹に雀で伊達家を象徴しているそうです。雀がなんとも愛らしい。

黒繻子地に、雪の白と南天の赤、竹の黄色の刺繍が美しく映えていて、いつまで見ていても見飽きない。


というわけで、着物の美しさに浸りきった一日でした。



運気アップ(?)コーディネート

新宿伊勢丹のIKESHOKU展へ行った時のコーディネート。


叔母から譲り受けた綸子の色無地。

かなりピカピカで派手な色合いの着物なので敬遠していたけれど、青海波の地紋はおめでたい柄だし(大海原の穏やかな波のような天下泰平を願う吉祥文)、金色なのでさらなる運気アップを狙って、お正月だから袖を通してみました。

帯は、今月は袋帯(二重太鼓)強化月間にしているので、名物裂の袋帯。

大海原のブルーを意識した水色の帯揚げと帯締め。



とはいえ、出先では一度もコートを脱がなかったので、外見はこんな ↑ 感じでした。

お能などの観劇やお食事の時はコートを脱ぐので帯周りを見せられるけれど、冬場のお出かけはコートを着たままのことが多いので、帯や小物のコーディネートを考えても、完全に自己満足でつまらなかったりします。

2014年1月2日木曜日

正月2日は初詣

2日は家族で初詣へ。

初めて訪れる阿佐谷神明宮。境内には立派な能舞台がありました。


2日の午前中は狂言と能が奉納されます。

今日も東京は雲ひとつない快晴で、絶好の観能日和。

写真撮影OKだったようなので、演者の顔があまり出ない程度にアップしますね。

舞台清祓いの儀

演能の前に、神職の方々によって舞台の清祓いがなされます。

まず、右側の神主さんが榊で舞台の四方を清め、それから見所に向かって榊を振り、観客たち(私たち)も清めてくださいました(少しはケガレが落ちたでしょうか)。

次に、鉾を持った禰宜の方が同様に舞台を清め、

最後に右側の神主さんが弓を引いて、矢を射る真似をしながら、魔を破り、厄落しをします。

このように清められた神聖な舞台の上で演能が始まります。



狂言《酢薑》
《高砂》の独調(謡・廣田幸稔、太鼓・徳田宗久)の後、大蔵流狂言《酢薑(すはじかみ)》。

面白かったけれど、この辺りから寒さが身に沁みてきて、集中力が……。

昼間の晴天で、防寒対策も万全で(ヒートテック3枚重ねに、カイロ2枚張り、真綿紬の着物に長羽織、首回りにはショールをぐるぐる巻き、手にはロンググローブをはめて)臨んだけれど、冬場の野外能はやっぱり寒い。


能《田村》

お目当ての半能《田村》。シテは工藤寛師で、ワキは安田登師。

金剛流のお能をライブで見るのは初めて。

野外能なので他流と比べようもないけれど、足の運びが速めなのが印象的でした。
(「舞金剛」の特徴なのかな。)

軽快で勇壮な舞が新春にふさわしい感じで良かったし、なによりも神社に奉納されるお能は、いつにも増しておごそかな感じがするので、味わい深さもひとしおです。


この後、参拝して、甘酒をいただいて、食事をして、家の近くの伊勢丹で夫に福袋を買ってもらって……というスタンダードなお正月らしいコースをたどって帰宅。



デパートの前で偶然遭遇した獅子舞のパフォーマンス。

昨日に引き続き、私が求めていた日本らしいお正月を堪能できた気がします。

2014年1月1日水曜日

元旦は着物で能楽堂へ

あけましておめでとうございます!

東京は快晴で風もなく、穏やかな元旦でした。この一年も平穏な年でありますように。

ここ何年か正月休みもなく仕事三昧だったので、久々にお正月らしい正月を満喫している夢ねこです。




元旦は午後から梅若謡初式に行くために、ちょっぴり改まったコーディネート。

着物はお正月らしく、百花の王・牡丹柄の付け下げ。

帯は、格式の高い演目が続くので、亀甲の地紋に向鶴と金の立涌が織り込まれた佐賀錦の袋帯(能の《鶴亀》を意識して)。

帯揚げは白にしようかなと思ったけれど、フォーマルになりすぎるのもつまらないので、ピンクで遊んでみました。



画像だと派手な色ですが、実際はもう少し落ち着いた色です(;^_^A




お正月だから着物姿の人もさぞかし多いはず、と期待して出かけたのだけれど、電車の中でも誰一人見かけず……そんなものなのかな。

華やかな和服姿にようやく出会えたのは、能楽堂に入ってからでした。

能楽堂の中にはお正月らしい飾りもあって、ここだけは古き良き日本の正月が堪能できる空間です。 なんだかほっとしますね。



梅若家らしく、紅梅が見事でした。
(今日の演目の1つ《東北》の和泉式部の「軒端の梅」を思わせます。)

注連縄を張り巡らせた神聖で清らかな能舞台上で、舞囃子や連吟、仕舞が続きます。


特に、梅若紀彰さまの《高砂》は、もう感動ものでした。

端正で切れのいい紀彰さまの舞いに、ノリノリのお囃子。

「時間よ、止まれ!」とお祈りしたくなるくらい。

いつまでも、永遠に見ていたい素敵な舞囃子でした。

林雄一郎さんの洗練された撥さばきと透明感のある掛け声もカッコイイ!


元旦早々、素晴らしい舞とお囃子で心身ともに浄化された感じです。

夢ねこにとっては、お能が究極のエステ&ヒーリングなのです。

2013年12月29日日曜日

茶道具取り合わせ展・「破袋がすごい!」

年末でバタバタしているので、メモ書き程度の記録になってしまいますが、

一週間ほど前に、五島美術館で開催されている「茶道具取り合わせ」展に行ってきました。


信長が本能寺に寄進したという唐物文琳茶入(銘・本能寺)や、鼠志野茶碗(銘・峰紅葉)(重文)、小倉色紙(藤原定家筆)、芦屋真形霰地紋釜(利休所持)など、いずれも超名品ぞろいでしたが、なんといっても白眉は古伊賀水差(銘・破袋)でしょう。

これはもう、ひびが入っているというレベルではなく、相当割れています。壊れています。破壊の極致です。
「水差」というけれど、はたして水を溜めることができるのでしょうか。
ぜったい漏れてくるように思えます。

そんな水差しとしての機能も果たさないような用の美でもない、どう見ても失敗作、処分すべき作品ともいえる器を、桃山の茶人は「美しい」と絶賛し、現代の日本人も「これこそ日本の美」と称賛して、重要文化財に指定したのです。

すごいではないですか、日本人の美意識って。
前衛的すぎます。 摩訶不思議すぎます。 
面白すぎるのです、日本人の美意識のユニークさが。


また、龍村平蔵製の名物裂手鏡なども展示されていて、着物好きには参考になりました。

展覧会場の入り口に陳列されている伝運慶作の愛染明王坐像も必見。
これほど美しく迫力のある愛染明王は見たことがないかも。
それも、かなり間近に見ることができるのです。
これほど間近に見れるように展示されていることも美術館では珍しいでしょう。

そんなわけで、小規模な展覧会ながら、かなり充実していましたが、会場が暗すぎるのが難点でした。
作品の劣化や褪色を恐れての処置だとは思いますが、せっかくの名品の展示なのだから、LEDにすれば劣化は防げるので、(サントリー美術館や東博のように)もう少し明るく見やすくしてくれたらなーというのが切なる願いです。

「印象派を超えて 点描の画家たち」展

もう2週間前のことになるけれど、国立新美術館で開催されていた「印象派を超えて 点描の画家たち」展(クレラー=ミュラー美術館蔵作品を中心に)に行ってきた。



「ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」というサブタイトルが示すように、分割主義という科学的・理知的な点描画法を開拓したスーラや、それをさらに発展させ理論的に体系づけたシニャック、そして彼らの点描画法を感覚的に取り入れたゴッホの作品が豊富に体系づけられていて、それなりに面白い展覧会だった。

画家たちが色彩分割(筆触分割)によって「見ることの主観性」を追求した結果、最終的にたどり着いたのが、あらゆる無駄をそぎ落としたモンドリアンの《コンポジション》。

赤と青と黄色と黒と白で構成されるモンドリアンのコンポジションはいくつかのヴァージョンがあるけれど、今回展示されていた《赤と黄と青のあるコンポジション》は、「less is more(簡素であることが豊かである)」を体現した究極の絵画だと思う。

モンドリアン《赤と黄と青のあるコンポジション》1927年

画面は大きさの違う四角で構成され、四角の中の色彩のほとんどが白で、赤が10分の1程度、青はアクセント程度で、黄色はあるかないか分からないほどほんの少し。
でも、この色彩の分量と配置が絶妙なのだ。
黒いラインの太さまで、緻密に計算されている。

赤が欠けても、青が欠けても、この絵は成り立たない。
一見、存在感が薄いように見える黄色でさえも欠けてしまうと、この精妙なバランスが崩れてしまう。
この神業的なセンスと構成力は感動的だった。

モンドリアンの展示室では、モンドリアンの作品とは到底思えないほど没個性的かつ凡庸な初期の風景画も展示されていて、彼がさまざまな紆余曲折・試行錯誤を経て、かつて描かれたことのなかったミニマリズムの極致ともいえる絵画にたどりついたことがよく分かるようになっていた。
人生はこうでありたい。


スーラやシニャック、ゴッホの作品など、見ていて勉強になったけれど、個人的に好きなのはオランダの象徴主義の画家ヤン・トーロップ(《オルガンの音色》など)とヨハン・トルン・プリッカー

ヤン・トーロップは筆触の粗い作風のものもあるので、今回の展覧会では分割主義の画家として展示されていたけれど、作品から醸し出される情緒は象徴主義以外の何ものでもない。
静謐で神秘的で、どこか妖しい怖さのある絵が多かった。

プリッカーの絵はステンドグラスを思わせる神聖な宗教画。

この2人の画家の作品が一番気に入ったので、ポストカードを買おうとすると、ないのですね。
いつものことだけれど、私が気に入ったマイナーな画家の作品はポストカードになっていないことが多いのです。 

またどこかで会いましょう。ヤン・トーロップとヨハン・トルン・プリッカー。





2013年12月23日月曜日

カトリック神田教会

前から気になっていたカトリック神田教会。

宝生能楽堂から徒歩十数分くらいの場所にあるので、とある日曜日に足を運んでみました。


マックス・ヒンデル設計。竣工は1928年。

3廊式のバシリカ様式で、関東大震災後の復興期に建設されたため耐震耐火構造を備えているそうです。




入口には聖母子像が。

内部は撮影禁止だったので、画像はないですが、日本の都心にこれほど荘厳な宗教空間があるとは思えないほど、おごそかな空間でした。

筒形ヴォールトの身廊を縁取るように列柱が配され、側廊の壁面は聖書の主題を描いた美しいステンドグラスで埋め尽くされています。
光が透過すると、宝石箱のよう。


右わきの祭壇には、日本の守護聖人であるフランシスコ・ザビエルの聖遺骨が、左わきにはルネサンス期のイコンが安置されています。

また、二階楽廊にはドイツ製のパイプオルガンがありました。
私が行った時は礼拝中ではなかったので、残念ながらその音色を聴くことはできませんでしたが、今度は是非聴いてみたいと思います。

奥の中央祭壇には、両脇に大天使ミカエルとガブリエルを配した十字架が安置され、その背後には聖母子や諸聖人、そしてちょんまげ姿の高山右近と十二単(?)の細川ガラシャを描いたステンドグラスがしつらえられています。

教会のステンドグラスに和服の聖人が描かれているのが何ともユニーク。




東京には他にも素敵な教会がいくつかあるので、教会巡りを趣味のひとつに加えたいと目論んでいます。













クリスマス・コーディネート


クリスマス・コーディネートで今年最後の観能へ。



着物は、グリーンの小花柄小紋(写真では鮮やかな緑ですが、実際はもう少し渋い抹茶色)。

帯は、南天柄をヒイラギに見立てたなごや帯。

赤い帯揚げでクリスマスムードを盛り上げて。



国立能楽堂で開かれた橘会に行ってきました。

梅若玄祥先生の社中会だけあって、出演されているプロの方々も超豪華。

特に後半は、私の大好きな囃子方の大倉源次郎さまと亀井広忠さんのゴールデンコンビが舞囃子とお能《田村》で連続出演されていて、もう、ときめきの時間でした。

源次郎様は、お痩せになったのかな……。
相変わらず優雅で豊かな美しい演奏でしたが、お疲れの御様子。

広忠さんはいつものようにエネルギッシュで気迫のこもった掛け声でしたが、演能が予定時刻を過ぎていたので、時間を気にされていて、さりげなく見所の奥に掛かっている時計をご覧になっていました。
(次の日に福岡で坂口さんの会に御出演される予定だったので、おそらくこの後飛行機に乗ることになっていたのでしょう。)


囃子方のゴールデンコンビ以外にも、一噌仙幸さんのクリスタルな笛の音や梅若紀彰さんの美声を堪能できて、至福のひととき。



今年は夏以来、能にはまって、特に11月以降は、毎週2回くらい能楽堂に足を運んだかな。

仕事のほうも、前からやりたかった美術史関連書の翻訳の依頼が舞い込んで、公私ともに充実した年でした。

お能はかなり中毒状態で、観能できない日が続くと禁断症状が出るほど。

学生時代はお能を観ると睡魔に襲われていたのに、面白いものです。

来年はもっと、

と欲張りな抱負を言いたいところだけれど、とりあえず自分と家族が健康であれば、それだけで幸せです。

2013年9月11日水曜日

あれもこれも。

9月最初の日曜日のコーディネート。


9月とはいえまだまだ暑いので、木綿の藍染縮みの着物。

帯は、木の実柄の麻の秋色の帯。

オレンジの帯に合わせて、帯締めはイエローで秋らしく。



相変わらず、締めきりに追われる日々ですが、仕事だけでなく、趣味も、家庭も、充実させたい!

もちろん、好きで始めた仕事だし、やりがいを感じているのだけれど、
私は仕事に没頭しすぎて身体を壊す傾向があるので、もう少しうまく息抜きをして、
 プライベートも楽しみたいと思っています。

それがいまの目標。

神泉 純米大吟醸

夫の出張のおみやげ。

加賀の菊酒「神泉 純米大吟醸」。


きりっと冷やして、白ワイン感覚で飲めるフルーティなお酒。

初秋のこの時期にぴったりです。

虫の声を聴きながら、思い出に浸りつつ、ひとり杯を傾けて。

めまぐるしく季節はめぐる

最近、仕事が忙しかったので久しぶりの更新。

これはたしか、8月末日のご近所コーディネート。



ポップな柄の夏着物に、ポリの献上柄のなごや帯。

雨が降りそうな日は気楽に。


9月に入ると、一気に秋らしくなりました。

空気がすっきり爽やかで、ずいぶん違いますね。