展覧会を拝見する前に、本館1階の天女(まごころ)像の前で行なわれたデモンストレーション&トークショーに参加しました。
黒のボトムスにモーヴカラーのジャケットをすっきりと着こなした假屋崎さんは、小柄で華奢な方でした。
きっと身体に贅肉をつけるなんて、彼の美意識が許さないのでしょう。
小気味良いエネルギッシュなトークで観客を引き込みながら、テンポよくアレンジしていく假屋崎さん。
トークショー中は撮影禁止なので、上の写真はトーク終了後の作品の様子です。
花瓶の多くも假屋崎さんがデザインしたもの。
オブジェとしても素敵なうえに、初心者でも簡単に花が生けられるように、さまざまな工夫が凝らされていました。
假屋崎さんにちなんで「ショウゴ・エレガン」と命名されたラベンダーピンクのバラ。
花弁の数が通常の2倍もあるゴージャスで優美なバラです。
写真はスプレーローズを裾にあしらったアレンジメント。
こちらはカラフルで涼しげ。
寒色系で、涼感を誘う色合い。
縦長ラインを強調しつつボトムにポイントを置いたデザイン。
すっきり、シャープな印象。
こちらは假屋崎さんの作品ではなく、三越にディスプレイされていたアクアリウム。
金魚の水槽は、涼しげで心惹かれます。
新館7階の展覧会では、絢爛豪華な假屋崎ワールドが展開されていました。
お花も見事だったけれど、興味深かったのは彼がデザインした着物。
振り袖や打ち掛けもあったのですが、こちらは派手すぎて、ショー向きかな。
でも訪問着は、とても上品な色合いとデザインで思わずじっと見入ってしまった。
胡蝶蘭やダリヤなど、着物の柄にはあまり使われない意匠があってとてもユニーク。
個人的にいちばん気に入ったのは、百合とオンシジウムをデザインした着物。
青磁色の地色に、裾と袖部分だけモーヴカラーを配した気品のある一枚でした。
假屋崎デザインの着物以外にも、20世紀初頭~前半に活躍した六世尾上菊五郎の《黒繻子地正月飾模様縫打掛》や、十世市川段十郎が所有した《白斜子地鯉の瀧登模様染縫着付》など、目も眩むほど豪華な刺繍が施された歌舞伎衣装も展示されていて、こちらも素晴らしかったです。
また、会場には、私の好きなショパンのワルツ第9番変イ長調が流れていて、うっとりと聴き入っていたのですが、これは假屋崎さんが演奏されたCDなのだそうです。
ほんとうに多才な方ですね。
ワルツ第9番変イ長調は、どこかアンニュイで、ミステリアスかつ物悲しい調子の演奏が個人的には好みですが、假屋崎のピアノはどこまでも優雅。
展覧会の雰囲気と花々の香りにとても似合っていて、夏のけだるい午後の甘美なひとときを満喫しました。
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