前半は、シテ方桑田貴志師のご子息(可愛かった!)とお社中の仕舞&連吟があり、
その後、笛方・寺井宏明師の一管があって、それから半能《高砂》の奉納でした。
先月、美保神社で拝見した巫女舞の時も感動したけれど、
神々に感謝を捧げる祭りの一環としてのプリミティブな原点に立ち返ったお能には、通常の能楽堂での演能とは趣を異にする独特の味わいがあります。
特設の舞台 |
半能《高砂》 後シテ(住吉明神) 桑田貴志
ワキ(神主) 野口能弘
囃子方:柿原光博(大鼓)、田邊恭資(小鼓)、梶谷英樹(太鼓)、寺井宏明〈笛〉
地謡:小島英明、鈴木啓吾、永島充
《高砂》はとってもノリが良くて好きな曲です。
この日の《高砂》も蝉しぐれの中、囃子と地謡と住吉明神の舞が渾然一体となって、
真夏の夕べの熱いジャズセッションのようにカッコイイ!
特設舞台が通常の能舞台よりもかなり狭いので、動きの多い舞を舞うシテ方が落ちないかとちょっとハラハラしましたが(面をかけると視界が狭くなるうえに、面の中はおそらく額から滝のような汗だろうから、シテ方はほとんど視界がきかなかったんじゃないかな。目印になる柱もないし)、狭い舞台上でもダイナミックで清々しい舞を見せてくださって、さすがでした。
私は2列目に座っていたのですが、舞台が狭く通常より低かったおかげで、ものすごい至近距離で拝見できたので、迫力がありました。
能奉納のあとは境内を散策。上の写真は大神輿。
深川に屋敷のあった紀伊国屋文左衛門が江戸期に奉納した神輿が関東大震災で焼失したため、平成に復元された日本一の大神輿だそうです。
横綱力士碑
深川不動堂
不動明王の真言「のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや
うんたらた かんまん」を唱えて、お祈りをするそうです。
境内を一巡して戻ってみると、能楽師の方々が私服に着替えて帰るところでした。
みなさんとてもラフな格好で、先ほどとのギャップが面白い。
なかには小鼓方の田邊師のように、IT企業にお勤めのビジネスマンのようなファッションの方もいらして、家路に向かうサラリーマンの波の中に違和感なく溶け込んでいました。
その後ろ姿を見送りながら、あの舞いも囃子も謡いも一瞬の夢のようだったと、二重のメタ舞台を見ているような気分で帰途に就いた夢ねこでした。
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